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中小企業におけるDX推進の必要性と具体的なロードマップを徹底解説

DX推進に取り組む企業が増えてきました。
DXは余裕のある大企業が取り組むべきだと考える人もいるかもしれませんが、実際のところは、中小企業にとっても無視できないものです。
中小企業でもDX推進に取り掛からなければ、損失が生じたり、事業存続が難しくなったりする可能性が経済産業省の資料から伺えるからです。
実際のアンケート調査においても、中小企業のDXへの意識は少しずつ高まってきていることが分かります。
しかし、そもそもDXとは「デジタル技術の導入によってビジネスモデルを変革し、ビジネス上の優位性を確立すること」を指し、一部業務のデジタル化や業務効率の改善に留まらないものです。
そのため、上記の定義を見る限り、
- 中小企業でそんな大掛かりなことはできない
- ITの知識が全くないので何から始めたらいいか分からない
と考えてしまう人も多いでしょう。
また、「本当に中小企業にとってDX推進は必要なの?」といった疑問を払拭しきれない人もいるかもしれません。
そこで、本記事では、
- 中小企業におけるDX推進の必要性
- 中小企業におけるDX推進の現状
- 中小企業でDX推進を行うためのロードマップ
- 中小企業のDX推進事例
- 中小企業でDXを成功に導くためのポイント
- DX推進を自力で進めるのが難しい場合にはサポートを検討しよう
など、中小企業においてDX推進を検討している人が知りたいと思われることをまとめました。
本記事を読むことで、
- 中小企業のDX推進の現状や課題
- 進め方や具体例
を把握いただき、「自分の会社でどのようにDXを推進していけばいいか」のヒントを掴むことができるでしょう。
中小企業に限らず、DX推進の課題について知っておきたい方は下記記事をご覧ください。
DX推進の課題とは?課題の対処法と具体的なDXの進め方を徹底解説
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目次
1.中小企業におけるDX推進の必要性
中小企業でも、DX推進に取り組むことで、ビジネス環境の変化に取り残されることを避けられ、さらに、会社内部の業務効率化や新規事業の創出といったメリットにつなげることができます。
- 中小企業でDX推進に取り組む必要性はある?
- 大企業のみが実行すればいいのでは?
などの疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、経済産業省のDXレポートでは、「2025年の崖」という概念が下記のように提示されています。
多くの経営者たちがDXの重要性を理解しているものの、「既存システムのブラックボックス化」や「業務全体の見直し」が課題となり、DXが実現できず、2025年以降に最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある。
参考:DXレポート|経済産業省
さらに、
- 爆発的に増加するデータを導入しきれずにデジタル競争の敗者に
- このままではシステムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上に達する
などのリスクも予見されています。
このように、DXを推進しなかった場合、会社経営に大きな損失を与える可能性が高いことが明記されており、これは、中小企業も例外ではありません。
そして、デジタル技術を活用して新しいビジネスモデルを展開する新規参入者により、町の商店や本屋・レコード屋等の生活に身近な商売においても、ビジネス環境は大きく変化しています。
このようなビジネス環境に対応し、
- 自らの会社と利益を守り
- 競争力を維持・強化する
ためにも、中小企業においてもDXを推進していくことが求められています。
経済産業省「中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き」では、中堅・中小企業においては、経営者の判断で新たな取り組みを行いやすいため、インターネットを活用した遠隔地域の顧客へのアプローチ等、チャンスが広がっていると強調しています。
DX推進に取り組むことで、
- 業務効率化の推進
- 売上・利益の向上
- 既存の商品・サービス・事業の付加価値向上
- 新規事業の創出
などを達成できる可能性が高く、多くのメリットが期待できます。
以上のことから、中小企業においてもDX推進に着手することは必要であり、多くのメリットを享受できると理解しておきましょう。
2.中小企業におけるDX推進の現状
次に、日本の中堅・中小企業のDX推進の取り組み状況について確認していきましょう。
一般社団法人日本能率協会が発表した『日本企業の経営課題2021』 調査結果【第3弾】によると、DXに取り組む企業は全体で45.3%です。
企業規模別の取り組み状況を見ると、
- 大企業 :65.6%
- 中堅企業:45.0%
- 中小企業:27.7%
という結果が出ています。
大企業と比べると、中堅・中小企業における割合は下がりますが、DX推進に取り組む中堅・中小企業は確実に増えています。
DX推進の成果に関しては、「おおいに成果が出ている〜ある程度成果が出ている」が6割であるものの、その内「ある程度の成果」に留まっているとの回答が4割と多数になっています。
以上のことから、中堅・中小企業では、DX推進に取り組む企業は増えてきているものの、DX推進で大きな成果を出している企業はまだ少なく、多くの企業がDX推進途上にあることが伺えます。
3.中小企業でDX推進を行うためのロードマップ
ここまでご覧いただいたうえでDXにご興味を持たれた方の中でも、
- 中小企業でDXを推進するといっても、まず何から始めたらいいの?
- どうやって進めたらいいの?
と疑問に思う人も多いでしょう。
そこで、本章では、経済産業省の資料「中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き」を参考に、中小企業でDX推進を行うためのロードマップについて説明していきます。
3-1.意思決定
中小企業のDX実現に向けた最初のステップは「意思決定」です。
具体的には、
- 経営者によるビジョンや経営戦略の策定
- DX推進チームの設定
といった行動があげられます。
まず、中小企業におけるDXは「DX推進に取り組む」という経営者の強い意思決定から始めることになるでしょう。
経営者の強い意思決定とリーダーシップがなければ、組織やビジネスモデルの変革を伴うDXを進めていくのは難しいからです。
そこで、経営者はDX推進への意思を固めた上で、5年後・10年後にどのような企業になることを目指していくかを思い描いていきましょう。
ここで大切なのは、
- AIを使って何かできないか、と社内外に丸投げする
- 単なるDX推進宣言で終わる
などを避けることです。
そのためにも、
- 経営者が5年後・10年後どのような企業を目指すか「経営ビジョン」を描く
- その上で現状との差を埋めるための課題を整理する
- デジタル技術を使ってどのように課題を解決するかを明確にする
ことがDXを進めるうえでとても重要です。
経営者のみで策定するのが難しい場合には、ITコーディネータなどに相談しながら進めていくようにしましょう。
DXに関する知識があまりないのであれば、同時にDXについての学びを深めていくことも大切です。
また、DXの戦略については下記記事で解説しています。DXに実際に取り組み始める前に戦略について考えておくのも大事だと思われます。
DX戦略の立て方|フレームワークを使った実践的な策定方法を解説
3-2.全体構想・意識改革
中小企業のDX実現に向けた次のステップは、「全体構想・意識改革」です。
経営者がDX推進を決定し、会社の目指す未来や経営戦略を策定したら、会社を巻き込んだ変革準備に移ります。
まずは、社員に変革を受け入れてもらい、協力体制を構築していかなければなりません。
経営者自らの言葉で、DX推進の必要性を説明し、社員が危機感を持ってDX推進に取り組めるような雰囲気作りをしていきましょう。
この段階では社員への説明だけでなく、「アナログデータのデジタル化」など身近なシステムのデジタル化を始めるなど、企業文化を変革していくうえでのファーストステップを実行し、社内の意識改革を行なっていく必要があります。
企業文化を変革していくためのファーストステップの具体例としては次のようなものが挙げられます。
業務環境のオンライン化
- テレワークシステムによるリモートワーク対応
- オンライン会議システムによる社内外とのコミュニケーションのオンライン化
業務プロセスのデジタル化
- OCR製品を用いた紙書類の電子化
- クラウドストレージを用いたペーパーレス化
- 営業活動のデジタル化
- 各種SaaSを用いた業務のデジタル化
- RPAを用いた定型業務の自動化
安全・健康管理のデジタル化
- 活動量計等を用いた現場作業員の安全・健康管理
- 人流の可視化による安心・安全かつ効率的な労働環境の整備
- パルス調査ツールを用いた従業員の不調・異常の早期発見
顧客接点のデジタル化
- 電子商取引プラットフォームによるECサイトの開設
- チャットボットなどによる電話応対業務の自動化・オンライン化
3-3.本格推進
DX推進への経営者の意思が固まった上で、
- ビジョンや経営戦略を策定する
- DX推進チームの設定や社内の意識が高まる
など、DX推進へ向かう土壌が整ったら本格推進へ移っていきましょう。
具体的には、「業務プロセスの見直し」「新しいシステムの構築」を実行していきます。
業務プロセスの見直しを行うにあたって、まずは、現状把握を行う必要があります。
現状把握を行う際には、会社組織としての課題とシステムの課題に分けて考えてみましょう。
それぞれの課題の具体例としては次のようなものが挙げられます。
会社組織の課題
- 会社全体の課題や、部署ごとの問題、部署間の連携問題を明らかにする。
- 社員へのアンケートや聞き取り調査を行うなどもひとつの方法。
システムの課題
- 現在活用しているシステムの問題を明らかにする。
- 古いシステムを使い続けている、余計な保守運用費がかかっている、部署ごとに異なるシステムのため使いにくいなどシステムの課題を明らかにする。
上記の視点から課題を洗い出した上で、課題解決の方法を考えていきましょう。
会社組織や業務の見直しを行なった上で、新しいシステムを導入していくなど、課題に対応していきます。
新しいシステムを導入する場合には、ITベンダーなどに外注する中小企業も多いと思いますが、会社内である程度の知識を持ち、ITベンダーと対等に交渉できる人材は必ず必要です。 ITベンダーに任せっきりにしてしまうと、
- 思ったようなシステム構築ができなかった
- 思った以上に予算がかかった
など思わぬ事態に見舞われることもあるかもしれません。
ITベンダーとの協力体制を築きながら、新たなシステム構築を行い、業務プロセスの効率化や顧客への新たな価値創出につなげていきましょう。
業務プロセスの可視化については下記記事で解説しています。詳細を知りたい方はぜひご覧ください。
業務プロセスを可視化する4つのステップ|可視化へ取り組むメリットを解説
3-4.DX拡大・実現
最後は、DXの拡大・実現のステップになります。
DX推進の中では、下記のような流れを意識して行なっていくと分かりやすいでしょう。
ステップ 1:デジタイゼーション
アナログ・物理データのデジタルデータ化
例)契約書の電子化など
ステップ 2:デジタライゼーション
個別の業務・製造プロセスのデジタル化
例)デジタルサービス導入による経費精算や勤怠管理業務のデジタル化など
ステップ 3:デジタル・トランスフォーメーション
組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、「顧客起点の価値創出」のための事業やビジネスモデルの変革
例)開発したAIシステムの商品化など
参考:DXレポート2|経済産業省
前項までで、ステップ1・ステップ2までが終了していることがほとんどであるため、最後のステップ3に取り掛かるというイメージを持ってみてください。
この段階になると、局所的な業務プロセスの改善や新システムの導入は完了しており、すでに組織や会社全体におけるビジネスモデルが大きく変わり、顧客に新たな価値を提供できるようになっているはずです。
例えば、社内の業務プロセス改善のために開発したITシステムを他社にも提供して、業界内のDX推進に貢献するような企業に生まれ変わるなど、大きな変革を達成できている状態です。
- アナログシステムのデジタル化
- デジタル技術によって製品やサービスの付加価値を高める
といった試行錯誤を繰り返し、最終的に「DX拡大・実現」のステップに到達します。
以上、DX推進のロードマップについて解説しました。
1度の試みですぐにうまくいくものではないため、長期的な視点を持って、試行錯誤しながら改革を達成できるよう努力を続けていきましょう。
ここまで中小企業におけるDX推進の必要性やロードマップをご覧いただいた上で、
- 必要性やロードマップは理解したけど実際の推進は難しそう
- 自社の従業員だけで対応できない
- 既存の業務で忙しく、さらに調べる時間もとれない
とお考えの方は、ぜひ当社にサポートをお任せください。
SMBCグループのプラリタウンでは、DX推進に悩む企業さま向けに、課題に適したデジタルツールの選定や導入に関するご相談を承っております。
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4.中小企業のDX推進における具体例を紹介
DXを成功させた中小企業の具体例について紹介します。
「会計をそろばんで行なっていた飲食店が世界一IT化された食堂に!」
有限会社ゑびや(三重県伊勢市・飲食業)
「講演会でDXに触れ変革を決意し産学官連携でプラットフォームを他社に先駆けて導入!」
マツモトプレシジョン株式会社(福島県喜多方市・精密機械部品加工)
「最初はITの知識が全くなかったが、今ではクラウドサービス開発で会社全体の業務効率化を達成!」
株式会社ヒサノ(熊本県熊本市・一般貨物自動車運送事業・ 機械器具設置工事)
4-1.有限会社ゑびや/(三重県伊勢市・飲食業)
有限会社ゑびやは、創業150年の老舗飲食店です。
事業承継を機に1台のPCに手作業で天気や売上等のデータを入力するところから地道にデータ活用の取り組みを開始しました。
そこから、7年かけて、AIによる来客数予測ツールを開発するといった取組を行うに至り、「世界一IT化された食堂」として生まれ変わりました。
そしてなんと、客単価3.5倍、売上5倍、利益は50倍に。
会社に大きな革命を起こし、現在では、業界全体のDX推進に貢献しています。
有限会社ゑびやは次のようなステップでDXを推進していきました。
【有限会社ゑびやのDX推進ステップ】
-
ステップ1:DX推進の意思決定
- 単価800円、グルメサイト評価は2.86、会計はそろばんで行なっていた老舗食堂
- 経営者が「当たり前」のことをすれば儲かるはずという思いから、経営改革着手を決定
-
ステップ2:ビジョンを決定
- 「当たり前」に取り組むべき課題として生産性向上を達成したいと考え、粗利向上及び労働時間等のコスト削減に取り組む
-
ステップ3:DX本格推進へ
- まず、「勘と経験」に頼った商売から脱却するため、1台のPCで社長自らデータ収集を始める
- 取り組みが進展すると、人材獲得や従業員のリスキル等にも試行錯誤しながら取り組む
-
ステップ4:DX推進の拡大
- AIによる来客数予測や、販売情報等経営データを一覧できるツールを開発
- 他の事業者の支援にも取り組み、業界全体のDX推進に貢献している
有限会社ゑびやの事例では、経営者が強いリーダーシップと意思を持ち、DX推進に取り組んだことが分かります。
また、DX推進の最初のステップが「1台のPCで社長自らデータ収集を始める」ことであったのも特徴です。
最初は、非常に身近なところから業務改善やデジタル化を始めていき、少しずつ人材獲得、従業員の教育を行いながら、時間をかけてDX推進を実行してきました。
ほとんどの業務がデジタル化されておらず、IT知識がない中小企業であっても、少しずつ歩みを進めていけば、DX推進の成果が見えてくるということが分かります。
4-2.マツモトプレシジョン株式会社(福島県喜多方市・精密機械部品加工)
マツモトプレシジョン株式会社は、福岡県にある精密機械部品加工会社です。
就任時から生産性向上と経営改善の必要性を感じ続けていた現社長が、講演会でDXに触れ、変革を進めることを決断しました。
従業員の可処分所得向上を目指して、地域の産学官連携で開発したシステムプラットフォームCMEs※を導入し、システムに自社の業務をあわせる形でDX推進に取り組んでいます。
マツモトプレシジョン株式会社は次のようなステップでDXを推進していきました。
【マツモトプレシジョン株式会社のDX推進ステップ】
-
ステップ1:DX推進の意思決定
- 社員が懸命に働いているが収益が上がらず、賃金があげられない
- 地域や顧客、従業員に選ばれる会社を目指す
-
ステップ2:ビジョンを決定
- 従業員の可処分所得3%向上を目指す
- そのために生産性を130%に高めることを目指す
-
ステップ3:DX本格推進へ
- 基幹システムの刷新、業務・組織の変革を決意
- ヘッドハントによる人材確保も含め、改革に向けた体制整備・意識改革推進
-
ステップ4:DX推進の拡大
- 産学官連携で開発した中小企業向けシステムプラットフォームCMEs※を他社に先駆けて導入
- CMEs(Connected Manufacturing Enterprises)中小企業が非競争領域の共通業務について、低コストで高品質なシステムを利用できるよう開発された共通業務システムプラットフォーム。地域企業間でのデータ基盤共有化により、企業間連携の促進等を目指している。
- 導入ノウハウ等をオープンにし、地域中堅・ 中小企業の生産性向上に貢献
- 産学官連携で開発した中小企業向けシステムプラットフォームCMEs※を他社に先駆けて導入
マツモトプレシジョン株式会社では、経営者が強い危機感を持った上で、体制整備・意識改革に自ら取り組んでいます。
また、従業員の賃金をアップしたいというビジョンを基に、産学官連携でプラットフォームを開発して導入しているのも特徴です。
経営者自らが危機感を持ち、ビジョンや目標を明らかにした上で、DX推進を実行している好例と言えるでしょう。
4-3.株式会社ヒサノ(熊本県熊本市・一般貨物自動車運送事業・ 機械器具設置工事)
株式会社ヒサノは、熊本県にある一般貨物自動車運送事業・ 機械器具設置工事を行う会社です。
業務の属人化やブラックボックス化に課題意識があり、相談をしたものの、社長は、ITベンダーの横文字言葉が理解出来ませんでした。
しかし、そこで諦めず、ITコーディネータとの対話を通じて、5年後のビジョンを明確化し、デジタル技術を活用した業務変革に着手しました。
結果、従来「紙媒体」で管理していた配車等のプロセスを、クラウドシステムでの運用に切り替え、各業務システムとデータ連携し、会社全体で業務最適化を達成しました。
株式会社ヒサノは次のようなステップでDXを推進していきました。
【株式会社ヒサノのDX推進ステップ】
-
ステップ1:DX推進の意思決定
- 属人化やブラックボックス化等、自社の業務に対する漠然とした課題感
- IT企業に相談しても、横文字ばかりで理解ができない状況
-
ステップ2:ビジョンを決定
- IT経営の専門家であるITコーディネータとの対話を通じて経営ビジョンを明確化
- 5年後に総合物流業者として九州全域をカバーしていることを目指す
-
ステップ3:DX本格推進へ
- 現状の業務継続の先にビジョンの実現がないと気づく
- 基幹の業務プロセス全体の、クラウドシステムによる運用への切り替えに着手
-
ステップ4:DX推進の拡大
- システム上で人員・機材の配置等が一覧できるようになり、受注のスムーズ化や、複数拠点間の融通も含めて全社的な業務最適化に寄与
「株式会社ヒサノ」では、経営者がITに関して理解が追いついていない状況から、DXに取り組んでいます。
横文字ばかりで理解ができない状況ではあったものの、このままでは事業継続につながってしまうと危機感を抱き、ITコーディネータに相談するに至りました。
このように、経営者がITに苦手意識を持っていたとしても、サポートしてくれる会社を見つけ、少しずつ会社の課題に対応していくことが大切だと分かります。
また、DXの事例についてもっと詳しく知りたい方はぜひ下記記事をご覧ください。DXの事例について詳細をまとめています。
初心者必見!DX事例15選とスムーズに進める必須ポイント5つ
5.中小企業でDX推進を行う際に成功に導くためのポイント
中小企業において、DX推進を行う際に成功に導くためのポイントを解説していきます。
- 経営者がリーダーシップを発揮する
- 身近なところからDX推進に取り掛かる
- ITベンダーやITコーディネータを活用する
- 中長期的な視点を持ってDX推進に取り組む
5-1.経営者がリーダーシップを発揮する
経営者がリーダーシップを発揮してDX推進に取り組むことが大切です。
大企業と比べると、経営者の判断でスピーディーにDX推進に取り組むことができるのが中小企業の強みです。
しかし、経営者が社員やITベンダーに全てを丸投げし、DX推進の内容を把握していないという状況では、社員の意欲も高まりにくいです。
また、ITベンダー側にとっても、企業側が何をしたいのかが明確になっていないと、局所的な改善に終わってしまうこともあるでしょう。
実際に、前章で紹介した中小企業のDX推進事例においては、経営者が「このままでは事業継続が難しいかもしれない」といった危機感を持った上で、ビジョンを明確に描き、DX推進を牽引しています。
経営者がIT関連の知識がなかったとしても、ITコーディネータに相談したり、PC1台を使ったデータ入力から始めたりなど、自分のできるところから手をつけて、DX推進を成功させているのです。
以上のことから、経営者がリーダーシップを発揮し、社内外の関係者をうまく巻き込んだり、ビジョンや経営戦略をしっかりと描いたりすることが、DX推進を成功させるには非常に重要と言えます。
5-2.身近なところからDX推進に取り掛かる
身近なところからDX推進に取り掛かるという意識を持ちましょう。
DXとは、ビジネスモデルや組織の変革という意味合いが強く、ツールの導入による局所的な業務改善とは意味が異なります。
「IT化=DX」でも「AI導入=DX」でもありません。
とはいえ、DX推進後の明確なイメージを持てる場合は別として、何から手をつければいいかわからないと悩む経営者は多いでしょう。
そのため、まずは、身近なところからDX推進に取り掛かるようにしましょう。
身近なところからDX推進に取り掛かるというのは、個別業務のデジタル化やオンライン化などの「デジタル化」から始めるということです。
例えば、前章で紹介した成功事例のうち、「有限会社ゑびや」は1台のPCに手作業で天気や売上等のデータを入力するところから地道にデータ活用の取り組みを開始しました。
このように、最初は、現状できるところから手をつけ、試行錯誤をしていく中で知見を得ながら、最終的に業務プロセス全体やビジネスモデルの見直しに着手するなど、取り組みを拡大させていきましょう。
DXの定義からすると、大きく何かを変えなければならないと気負ってしまうことがあるかもしれませんが、身近なできるところから手をつけると、成功しやすくなります。
ここまで成功したDXの事例をご覧いただいた上で、自社のDX推進に不安をお持ちの方も多いと思います。
- DXの推進で業務が効率化され業績の向上が期待できるのはわかったが、実際の推進は大変そう
- 自社の場合は状況が特殊で、まず何から手をつければいいのかわからない
- まずは詳しい人に話を聞いてみたい
そのような方も多いのではないでしょうか。
SMBCグループのプラリタウンでは、DX推進に悩む企業さま向けに、課題に適したデジタルツールの選定や導入に関するご相談を承っております。
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5-3.ITベンダーやITコーディネータを活用する
中小企業がDXを成功させるためには、ITベンダーやITコーディネータを活用することが大切です。
DX推進には、エンジニアやプログラマーなどデジタル技術に関する専門的な知識のあるIT人材が必要になります。
社内でIT人材の採用・育成ができれば問題はありませんが、中小企業にとって、最初から全てを自力で行おうとするのは難しいでしょう。
そこで、ITベンダーやITコーディネータなど外部の支援をうまく活用し、ノウハウやスキルを積極的に取り込んでいくことをおすすめします。
前章で紹介した、中小企業のDX成功事例においても、ITの知識が十分ではない経営者がITコーディネータに相談しながらDX推進を実行したものがありました。
このように、中小企業では、最初は、必要に応じて外部の支援に頼り、少しずつ社内にノウハウ・スキルを蓄積していくようにすると、うまくいきやすいでしょう。
DX人材の不足の原因、解決策については下記記事でも詳細を解説しています。
DX人材が不足している本当の原因|企業はどのようにDX人材を確保する?
5-4.中長期的な視点を持ってDX推進に取り組む
DXを成功させるためには、中長期的な視点を持って取り組むことが大切です。
繰り返しにはなりますが、DXとは、デジタル技術の導入によってビジネスモデルを変革し、ビジネス上の優位性を確立することを指し、一部業務のデジタル化や業務効率の改善に留まらないものです。
つまり、一部業務のペーパーレス化やオンライン化のみでDXを推進したとは言えないですし、基幹システムを刷新さえすればそこで完了するものでもありません。
経営者のリーダーシップのもと、5年後、10年後を見据えた経営ビジョンの策定、業務プロセスの現状把握、課題の設定と解決策の模索、社内外の関係者巻き込み、試行錯誤やデジタル人材の確保や育成などを長い時間とコストを投じて行なっていく必要があります。
前章で紹介した、中小企業のDX成功事例においても、パソコン1台からDX推進への取り組みを始めた「有限会社ゑびや」は7年かけてAIツール開発に至りました。
そのため、短期で結果が出ないからとすぐに諦めず、中長期的な視点を持って、DX推進に取り組んでいくことが大切です。
6.DX推進を自力で進めるのが難しい場合にはサポートを検討しよう
ここまで、
- 中小企業におけるDXの必要性やロードマップ
- 具体的な事例や成功ポイント
について解説してきましたが、「DX推進を自力で実行するのは難しそう」と感じた方もいるでしょう。
もし、DX推進を自力で実行するのが難しいと考える場合には、外部のサポートを検討してみてください。
社内でIT人材の採用や教育などの全てができればいいのですが、中小企業では難しいことも多いでしょう。
「ITの知識がないので相談に乗って欲しい」と考える経営者もいるかもしせません。
そこで、ITコーディネータやITベンダーにサポートを依頼することを検討してみましょう。
中小企業のDX成功事例においても、ITの知識が十分ではない経営者がITコーディーネータに相談しながらDX推進を実行したものがありました。
ITコーディネータやITベンダーの選び方としては、下記の点などを確認することをおすすめします。
- 局所的なシステム化対応のみでなく、業務全体を見渡した提案をしてくれるか
- 複数のサービスをひとつの窓口で紹介してくれるか
- 具体的な事例の紹介をしてくれるか
- 中小企業サポートの実績があるか
- 不必要なITシステムの提案をしないか
- 業績アップへの意識が高いか
DXのサポートを選ぶ際に、特に気をつけなければならない点として、「局所的なシステム化のみではなく、業務全体を見渡した提案をしてくれるか」を確認しましょう。
DXを成功させるためには、社内の各システムをそれぞれ効率化しただけでは難しく、総合的な視点を持って社内改革を行うことが大切だからです。
また、「DXへの興味はあるもののもう少し勉強してから取り掛かるか決めたい」という場合には、DX関連のメルマガやセミナー動画の配信を行なってくれるサービスを利用するところから始めると良いでしょう。
プラリタウンでもセミナーや会員向けのメルマガなどを配信していますので、ぜひそちらもご活用ください。
プラリタウン開催の過去の視聴可能なセミナー
<アーカイブ>【知っておきたい補助金&助成金!】 IT導入と人材育成の支援制度に関する特別解説セミナー
<アーカイブ>【概要から実践方法までを網羅!】 デジタルトランスフォーメーション基礎講座
<アーカイブ>【秘訣はEXにあり!】社員の離職を防止するための本質的な対策とは?
7.まとめ
本記事では、下記について詳しく解説しました。
- 中小企業におけるDX推進の必要性
- 中小企業におけるDX推進の現状
- 中小企業でDX推進を行うためのロードマップ
- 中小企業のDX推進事例
- 中小企業でDXを成功に導くためのポイント
- DX推進を自力で進めるのが難しい場合にはサポートを検討しよう
中小企業において、DX推進は必要です。
現状のままでは、デジタル技術を活用して新しいビジネスモデルを展開する新規参入者によりビジネスが脅かされるリスクがあるからです。
そのため、ビジネス環境に対応し、自らの会社と利益を守り、競争力の維持・強化のために、中小企業においてもDXを推進していくことが求められています。
中小企業がDX推進を成功させるためには、
- 経営者における強いリーダーシップや中長期的な視点を持つこと
- 身近なところからDX推進に取り掛かること
が非常に大切です。
その他、中小企業におけるDX推進の現状や成功事例についても詳しく解説しているので、本文をぜひご確認ください。
本記事を読むことで、中小企業のDX推進の現状や課題、進め方や具体例を知って「自分の会社でどのようにDXを推進していけばいいか」のヒントを掴んでいただけたなら幸いです。
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