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DX人材が不足している本当の原因|企業はどのように人的資源を確保する?

「DXを進めようとしているが、担い手不足が課題となっている」
このようなお悩みはありませんか?
昨今、日本企業においてDX推進の担い手となるDX人材の不足により、DXがうまく進まない状況が多く見られます。
自社のDXをスムーズに進めるためには、一定以上のデジタルリテラシーを持ち、プロジェクトを中心となって進めることができる社内のDX人材が必要不可欠です。
ではなぜ各企業でDX人材が不足してしまっているのでしょうか?
本記事ではDX人材が不足している原因を含め、下記について解説していきます。
- DX人材が不足している原因
- 代表的なDX人材の分類
- DX人材の不足へ短期的に対応する方法
本記事を読むことで、DX人材が不足している背景について理解を深めていただくとともに、「自社でDXを進めるにあたって必要な人材が不足している」といった課題に対して、具体的にどのような解決策を取るべきかを明確にすることができます。
人材不足が原因で、DX推進が難航している方はぜひ最後までお読みいただき、1つでも有益な情報を得ていただければ幸いです。
SMBCグループのプラリタウンでは、DX推進に悩む企業さま向けに、課題に適したデジタルツールの選定や導入に関するご相談を承っております。
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目次
1.DX人材が不足している原因
本章では、DX人材不足の原因を、2つピックアップしています。
企業に内在する2つの要因
- 労働力人口の減少とDX人材の需要増加
- IT人材の育成不足
DX人材不足の2つの要因として、①国内の労働力人口の減少とDX人材の需要増加と、②ユーザ企業(非IT企業)におけるIT人材の育成不足が考えられます。
1-1.国内の労働力人口の減少とDX人材の需要増加
1つ目は、マクロ的な要因です。
少子高齢化に伴い、国内の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は下記図表の通り、1995年をピークとして減少傾向にあります。
参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」[2022]を加工して作成
また、労働力人口(15 歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)は、女性の社会進出拡大に伴い2012年から2019年までは増加傾向にありましたが、こちらも2020年以降は減少に転じています。
参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の概要」[2022]
一方で、テクノロジーの発達や「2025年の崖」問題などを背景に、国内企業は企業規模・業種問わずデジタル化・DX推進を余儀なくされています。
このような背景から、デジタル化・DX推進の担い手である「DX人材」が、絶対的な人数をみても、需要に対する供給人数をみても不足してしまっており、こうした傾向は今後さらに加速していくと考えられます。
参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」[2018]を加工して作成
1-2.ユーザ企業(非IT企業)におけるIT人材の育成不足
2つ目の要因は、ユーザ企業(非IT企業)におけるIT人材の育成不足です。これには、IT企業と非IT企業の、従来の関わり方にも関係があります。
従来IT企業は、彼らの事業自体でITを活用し、自社で開発したシステムを顧客へ展開して売上を拡大してきました。
一方、非IT企業では、IT企業が開発したシステムを利用する「ユーザ企業」としてシステムへの関わりはあったものの、システムの専門的な部分はIT企業に頼りがちで、IT活用に関するノウハウやナレッジが社内に蓄積されにくい状況にありました。
こうした中、既存で付き合いのあるIT企業(システム開発ベンダーなど)を変更するリスクを取ることができない非IT企業は、一度システム導入を手掛けたIT企業との付き合いが長期化しやすくなります。すると、既に付き合いのあるIT企業とは良くも悪くも近すぎる関係となってしまい、別のIT企業から新しい提案を受け辛く、ユーザ企業自体が世の中の環境変化から置いて行かれているような状況も起こりがちです。
このような背景から、ユーザ企業にはIT人材が多くないうえ、新たなIT人材が育ちにくい状況にあります。また、非IT人材は、先端的なITスキルの習得へも消極的になりがちです。
DX人材はデジタルリテラシーや経験が豊富なIT人材が担い手となる場合が多いため、ユーザ企業のIT人材不足が、DX人材不足を引き起こしてしまっている一因であると考えられます。
2.代表的なDX人材の分類
DX人材の代表的な分類には、以下の3つがあります。
DX人材の分類例
- ビジネスアーキテクト
- データサイエンティスト
- エンジニア・オペレータ
経済産業省は、DXを進める企業等におけるビジネスパーソンの人材像として、①ビジネスアーキテクト、②データサイエンティスト、③エンジニア・オペレータ、④サイバーセキュリティスペシャリスト、⑤UI/UXデザイナー、の5種類を挙げています。
参考:経済産業省「デジタル人材育成プラットフォームの検討について」[2021]を加工して作成
本記事では、特に①ビジネスアーキテクト、②データサイエンティスト、③エンジニア・オペレータに焦点を当てながら、それぞれの分類に該当する人材がどのような役割を担っているのかを具体的に解説していきます。
2-1.ビジネスアーキテクト
- ビジネスアーキテクト
- デジタル技術を理解して、ビジネスの現場においてデジタル技術の導入を行う全体設計ができる人材
ビジネスアーキテクトには、企業の事業戦略に沿うような形で、デジタル技術の導入やシステム開発における全体の設計を行うことが求められています。
ビジネスアーキテクトは、単純に開発者としてシステム開発に携わるのではありません。IT専門知識を多角的に活用しつつ、事業戦略の視点も鑑みながら、システム全体の枠組みを明確に描いていく役割を担います。
ビジネスアーキテクトに必要なスキルには、次のようなものが挙げられます。
- システム企画立案スキル
- 製品・サービス開発やマーケティングに関するスキル
- システムの基盤技術や開発・保守運用に関するスキル
ビジネス上の実務からシステムの課題まで幅広に把握したうえでの企画立案を任されています。
2-2.データサイエンティスト
- データサイエンティスト
- 統計等の知識を元に、AIを活用してビッグデータから新たな知見を引き出し、価値を創造する人材
データサイエンティストには、ただ単にデータを分析する役割が求められているわけではありません。
これまでの経営・事業判断は、経営層や従業員の経験や勘で行われることが多くなっていました。データサイエンティストは、ビッグデータから新しい価値を見出して、経営層や従業員が経験や勘では気付けなかった新たな視点や課題解決策を提示することが重要です。
例えば以下の事例のように、膨大なデータを基に新たな示唆出しを行うことも、データサイエンティストの役割です。
- 社内で持つ顧客の商品購入情報や属性情報と、社外の統計情報や消費動向データを掛け合わせ、顧客の購買動向を精緻に把握し、マーケティング施策に還元する
データサイエンティストには、社内外の幅広なデータを、経営課題の解決に繋げる能力が求められています。
必要となる具体的なスキルには、次のようなものが挙げられます。
- 業界動向・最新技術動向の把握スキル
- データベースの利用スキル
- データ分析に関するスキル
2-3.エンジニア・オペレータ
- エンジニア・オペレータ
- クラウド等のデジタル技術を理解し、業務ニーズに合わせて必要なITシステムの実装やそれを支える基盤の安定稼働を実現できる人材
エンジニア・オペレータとは、クラウド等の様々なデジタル技術を、従業員や業務のニーズに合わせて具体的にどのように活用できるのかを検討し、必要なITシステムの実装や安定稼働の実現を図る人材です。
クラウド等のデジタル技術は日々発展している分野であり、こうした技術を理解しながら活用できる人材の需要は、今後も高まっていくことが予想されます。
エンジニア・オペレータには、例えば以下のようなスキルが必要とみられます。
- システムやデータベースなどの基礎・構築技術
- 最新技術動向の把握スキル
具体的なITシステムの実装を検討する会社では、エンジニア・オペレータの確保が急務となっています。
3.DX人材の不足へすぐに対応する2つの方法
2章で解説したように、DX人材の不足は国全体としての課題となっています。そうした中でも、本章では特に、企業がDX人材の不足に対してすぐに対応していくための具体的な方法を2つご紹介します。
DX人材の不足をすぐに解決する2つの方法
- 外部からの人材採用
- アウトソーシング
ただし、上記2つに加えて、社内のDX人材の育成も中長期的な目線で取り組んでいくことは重要です。自社でDX人材を育成していくとなれば、一定の時間やコストがかかることは避けられませんが、将来的にDX人材を社内人材から配置することができ、根本的なDX人材不足の解決に繋がります。
企業文化を変える意識も大切
DX人材を新たに採用するにしても、DX人材の育成にしても、前提条件として、企業文化を変えていく意識は非常に重要です。たとえ良い人材が入ってきたとしても、企業全体として「今まで通りの業務のやり方が一番楽だ」「新しい取り組みを行うことは手間がかかる」という雰囲気では、登用した人材がせっかくの能力を発揮できません。
DXを推進しながら事業全体の改革が求められている状況を、従業員と常に共有しましょう。これまで企業が当たり前に行ってきたことも、従業員一丸となって変えていく意識を、会社全体で持つことが大切なのです。
3-1.外部からの人材採用
まず1つ目の対応策として、外部人材を採用することが挙げられます。
2章で取り上げたようなDX人材の分類やスキルを参考に、自社に今必要なDX人材の要件を具体的に検討したうえで、求人サービスを活用することも選択肢の一つです。
求人サービスによっては、求職者の希望条件をデータベースで閲覧することや、採用担当者が求職者へ直接コミュニケーションをとることなども可能なため、会社側と求職者側のミスマッチを防ぐことも可能です。
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3-2.アウトソーシング
外部から人材を採用するために、既に求人は出しているものの、なかなか採用に繋がらないということもあるかと思います。
そのような場合や、DX推進が急務な場合には、DXに関わる業務を丸ごと外部事業者や外部人材へアウトソーシング(外部委託)することも1つの手です。
特定の事業者に限らず、フリーランスと業務委託契約を結び、業務の一部を担ってもらうことも有効ですが、フリーランス人材を活用する場合は、契約時に業務内容をしっかり擦り合わせておくことも重要です。
フリーランス人材の採用方法
- クラウドソーシングサイト
- フリーランス対応エージェントの活用
あえて内製化にこだわらないことで、スピード感を持ったDX推進が可能になるのです。
ただし、社内のDX人材育成不足を根本的に解決するためには、従業員のデジタルリテラシーの引上げやスキルの習得に向けた研修の実施など、人材育成への取り組みは必要不可欠です。
人材育成への取り組みを強化するにあたっては、一定の時間や費用がかかる場合もありますが、中長期的なDX人材の確保に向けては、外部のデジタル人材育成サービスを活用することも検討してみてはいかがでしょうか。
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4.DX人材不足への対応が遅れると、既存システムの維持が困難になることも
DX人材不足への対応が遅れると既存システムの維持が困難になる可能性もあります。
人材不足を放置するとどうなる?
- 既存システムのサポート終了
- 導入しているサービスの提供中止
→システムの維持が困難になる
DX人材が不足しており、DXのみならず基本的な業務のデジタル化も進められないままに、いつ使えなくなるかも分からないシステムを使用せざるを得ない企業も存在しています。
この状態を放置すると、将来的に次のことが起こり得ます。
- 既存システムの仕様を把握している人材の退職
- 結果として、既存システムのブラックボックス化が発生
⇒既存システムのサポート終了やサービスの提供中止に伴い、既存システムの維持が困難に
このように、DX人材の不足を放置していると、いくら既存システムに多額のコストをかけて開発・運用してきていたとしても、ある日突然、そのシステムが社内で利用できる状態ではなくなってしまう、といった事態も想定されます。
利用できなくなったシステムが業務上重要なものであった場合、通常の業務運営へも大きく影響する可能性があるかもしれません。
5.自社でDXを進めることが難しい場合は外部サポートも視野に入れよう
自社だけではDX人材の確保へ十分に対応できない場合、人材確保に向けた具体的なアドバイスを外部から貰うことも検討してみましょう。
DX人材の確保に向けて割くことができる自社の人手や知見が十分でない場合、DXを進める中で、次のような問題にぶつかることもあるでしょう。
- 既存の業務以外の業務が増えるため、どうしても人材確保が追いつかない
- 外注するにも依頼先をどのような基準で決定していくべきか分からない
上記のようなケースに該当する場合、DX人材の確保に向けて専門機関へ相談することも一案です。
専門家による客観的な意見を取り入れることで、DX推進や人手確保に関する正しい知見が広がります。
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6.まとめ
日本企業でDX人材が不足している要因の一つに、「DXで必要となる人材が、IT企業や首都圏に集中していること」が挙げられます。こうした状況を打開できない要因には、例えば次の2つが考えられます。
DX人材不足が不足する2つの要因
- 国内の労働力人口の減少とDX人材の需要増加
- ユーザ企業(非IT企業)におけるIT人材の育成不足
DX人材の代表的な分類には、以下の3つが挙げられますが、これらの人材には一定の専門スキルが求められます。
- ビジネスアーキテクト
- データサイエンティスト
- エンジニア・オペレータ
そのため、単純に社内人材の育成を始めたとしても、スピード感を持ってDX推進プロジェクトを進められないケースも多いです。
そこで、人材不足が原因でDX推進が遅れている場合は、まずは次の解決策を試しましょう。
DX人材の不足へすぐに対応する方法
- 外部からの人材採用
- アウトソーシング(フリーランスも視野に!)
DX人材の不足に伴い、DXが遅れることで、アナログで非効率な社内業務に金銭的・時間的コストがかかり続けるだけではなく、既存システムが使えなくなるという可能性も十分考えられます。そのような状況を回避するためにも、DX人材確保とDXの推進は急務となっています。
「人材確保に向けて現状を変えなければならないとは思ってはいるものの、具体的に何から始めるべきか分からない」
このような場合は、まずは外部の專門機関へ相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。