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人事DXとは?おすすめの実践アイデア3つとよくある課題の対策方法

人事DXとは、人事の領域にデジタルツールを導入し、業務の進め方などを刷新することで生産性を向上させる取り組みのことです。具体的には、人事DXによって、データを有効活用した人員の適正配置やツールによる業務の効率化などを実現できます。
人事DXとは
デジタルツールを導入し、業務の進め方などを刷新することで生産性を向上させる取り組み
人事DXは、テレワークの浸透に伴い業務のプロセスを見直さざるを得なくなったことや、ビジネス環境の変化に伴い適材適所の重要性が高まったことなどから、注目を集めている取り組みです。
人事DXを推進することで、業務の負担を軽減しながら、ニーズに合った人材の採用や適正な人員配置を実現し、組織の競争力や従業員の満足度を向上させられるといったメリットがあります。
一方で、デジタルツールの導入が目的化してしまうなど、人事DXには陥りやすい課題もあることに注意が必要です。
人事関係データを一括管理し、タレントマネジメントに活用 | 労務管理をデジタル化し、業務負担を軽減 | 採用管理システムを導入し、業務効率化 | |
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導入するシステム例 |
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この記事では、人事DXの概要・おすすめの人事DX実践アイデア・注意すべき課題と対策ポイントなど、人事DXをスムーズに成果につなげるために必須となる基礎知識を解説します。
この記事の内容
- 人事業務の効率化
- 負担軽減に効く人事DXとは?
- おすすめの人事DX実践アイデア3つ
- 人事DXで注意すべき課題と対策ポイント
- 人事DXの基本的な進め方
記事の後半では、人事DXの基本的な進め方もご紹介します。どういう手順でDXを進めればうまくいくのか、実践的な方法論まで把握したい方にも、参考にしていただけるでしょう。
今回ご紹介する内容を一読すれば、人事のDXとは一般的にどのようなことをするのか把握し、DXに向けて自社では何をすべきかがイメージできるようになります。
企業の競争力を高めるには、人事におけるDXが欠かせません。基本を押さえて、取り組みを進めていきましょう。
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目次
1.人事業務の効率化・負担軽減に効く「人事DX」とは?
人事DXとは、人事の領域にデジタルツールを導入し、業務の進め方などを刷新することで生産性を向上させる取り組みのことです。
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術やデータを活用し、業務のやり方を大きく変えることです。企業の競争力を強化する取り組みとして、経済産業省によって推進されています。
人事分野においても、企業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応する必要性があるなどの背景から、積極的なDXが求められている状況です。
ここでは、人事DXについて
- 注目される背景
- 取り組むメリット
といった基本的なポイントを確認しておきましょう。
1-1.人事DXが注目される背景
人事DXが、近年注目を集める大きな理由は、テレワークが広く浸透してきたことが挙げられます。
テレワークをする従業員が増えたことで、
- オフィス外で仕事をする従業員の勤務状況を正確に把握するためには、デジタルツールが欠かせない
- 人事労務の担当者が効率的にテレワークをするには、デジタルツールの導入が必要
といった、デジタルツールを業務に取り入れる必要性が出てきたからです。
このように、勤務場所の変更という業務環境の大きな変化が、業務プロセス見直しの必要性につながり、人事DXが注目されています。
1-2.人事DXに取り組むメリット
人事DXに取り組むことの代表的なメリットは、以下の3つです。
人事DXに取り組む代表的なメリット
- 適材適所の人員配置ができるようになる
- ニーズに合った人材を採用しやすくなる
- 多様な働き方を実現しやすくなる
デジタルツールを導入することで、従業員の経歴・資格や能力・評価・本人の希望といったデータを、一括管理できるようになります。これに伴い、各部署とのマッチングがスムーズに行えるようになり、適材適所の人員配置が効率的に実現可能です。
また、採用時のエントリーシートなどのチェック作業にAIを導入すれば、業務負担を減らしつつ、ニーズに合った人材を採用できます。
さらに、人事評価や労務管理にクラウドシステムを導入すれば、社外からも人事業務を処理することが可能です。これによって、多様な働き方を実現しやすくなるでしょう。
2.人事DXの実践アイデア代表例
人事DXといっても、具体的な実践イメージがわかないという方も多いでしょう。そこで、ここでは、具体的な人事DXの実践例をご紹介します。
人事DXの実践アイデア例
- 人事関係データを一括管理し、タレントマネジメントに活用
- 労務管理をデジタル化し、業務負担を軽減
- 採用管理システムを導入し、業務効率化
以下では、各実践アイデアについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
2-1.【実践アイデア①】人事関係データを一括管理し、タレントマネジメントに活用
効果的な人事DXの一例として、人事関係データを一括管理し、タレントマネジメントに活用することが挙げられます。
タレントマネジメントとは、従業員の経験やスキル・能力などを、育成や配置などに活かすことです。優秀な人材を適材適所で配置したり、各従業員に最適な育成を行ったりすることで、限られた人材でも高い成果を上げられるようになります。
効果的なタレントマネジメントを実施するには、各従業員の能力などに関する詳しい情報を集約し、分析することが欠かせません。
そこでDXを進め、人材管理システムを導入し、採用システムや労務管理システムと連携させることで、タレントマネジメントに有益なデータを一括管理することができます。
この人事DXはすべての企業に有用ですが、特に向いている企業は、人材不足を実感している企業や、支店が多数あり人材データが分散して管理されている企業などです。
もっと詳しく知りたい方は、タレントマネジメントシステムを提供している、株式会社HRBrain の情報などをご確認ください。
導入するシステム例 |
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期待できる効果 |
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向いている企業 |
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2-2.【実践アイデア②】労務管理をデジタル化し、業務負担を軽減
人事DXを推進し、労務管理をデジタル化すると、人事労務の担当者や他の従業員の業務負担を軽減することができます。
例えば、勤怠管理システムや給与計算システムを導入して連携させれば、給与計算業務の自動化や労務管理の工数削減により、担当者の負担を軽減することが可能です。また、社外から業務を処理できるようになるので、多様な働き方を実現できます。
さらに、勤怠管理をデジタル化すると、社外からの打刻や申請もスムーズです。人事労務の担当者に限らず、全従業員に負担の軽減効果が期待できます。
労務管理のデジタル化と特に相性のよい企業は、テレワークを積極的に取り入れている企業や、人事部門でも多様な働き方を実現したいと考えている企業などです。
より詳しく知りたい方は、労務管理システムを提供している株式会社SmartHRや、勤怠管理システムを提供しているフリー株式会社などの情報を確認してみてください。
導入するシステム例 |
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期待できる効果 |
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向いている企業 |
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2-3.【実践アイデア③】採用管理システムを導入し、業務効率化
人事DXとして採用管理システムを導入すれば、採用業務を効率化しながら、今以上に希望どおりの人材を確保しやすくなります。
採用管理システム(Applicant Tracking System、ATS)とは、募集・選考・内定といった採用業務全体を、一括管理できるシステムのことです。
採用管理システムを導入すると、採用候補者や選考状況に関する情報を、まとめて見やすく管理し、社内でスムーズに共有できます。また、面接日程の調整など、一部の作業を自動化することも可能です。
煩雑な単純作業を効率化でき、最新情報を正確に速やかに把握できることで、選考作業などコアな業務にかける時間を増やせるようになるでしょう。
採用業務が煩雑で選考作業に十分な力をかけられていない企業や、複数の部署で個別に採用業務を行っている企業などは、導入効果が高くなります。
もっと詳しく知りたい方は、「採用管理システム 事例」などのキーワードで検索してみてください。
導入するシステム例 |
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期待できる効果 |
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向いている企業 |
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3.人事DXで注意すべき課題と対策ポイント
人事DXをうまく成功させるには、きちんと対策をしておくべき、よくある課題が2つあります。
課題 | 対策ポイント |
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【課題①】 デジタルツールの導入が目的化してしまう |
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【課題②】 データが集約できない |
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それぞれ、どのような課題があるか詳しくご説明します。
3-1.【課題①】デジタルツールの導入が目的化してしまう
人事DXを進めるときに、デジタルツールの導入が目的化してしまい、導入後、データをうまく活用できなくなるという課題があります。
DXは、デジタルツールを導入すれば終わりではなく、その後、ツールやデータをどのように活用していくかによって成否が分かれます。そのため、ツール導入後の活用プランまで計画に入れて、DXを推進することが大切です。
具体的には、
- 経営戦略とリンクさせた人材配置計画を立てる
- データをどう使うかなど、着地点を考えて進める
といった対策を取りましょう。
具体的には、DXを推進する前に、経営陣や関係する部署の従業員に対しDXを推進する目的やメリットを説明して理解を得た上で、運用計画を連携して作成するようにするとよいでしょう。
課題 | 対策ポイント |
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【課題①】 デジタルツールの導入が目的化してしまう |
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3-2.【課題②】データが集約できない
デジタルツールを導入したものの、各部署やシステムに散在するデータの集約が進まない事態も、DX推進時に起こりがちな課題です。
データ集約が進まないと業務の効率化が進まないので、人事DXを成功に導くには、適切な対策を取る必要があります。
対策方法の例は、
- 社内全体にDXの推進について周知し、理解を得る
- デジタルツールは段階的に導入する
の2つです。
人事DXについて、社内全体の理解をあらかじめ得ることに加え、スケジュールなども共有しておくことで、データ集約への協力が得やすくなります。
また、一度に多くの部署やシステムを巻き込んでデジタル化するのではなく、影響範囲の小さい小規模なシステムや利用頻度の少ないものから段階的にデジタル化していくことで、データ集約もスムーズになるでしょう。
課題 | 対策ポイント |
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【課題②】 データが集約できない |
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4.人事DXの基本的な進め方4ステップ
人事DXは、以下の基本的な流れに沿って進めることで、手戻りなく効率的に成果を出しやすくなります。
ステップ① | 人事DX推進の方向性を決める |
---|---|
ステップ② | 現在の業務プロセスを分析する |
ステップ③ | DXの施策を決め実践する |
ステップ④ | フィードバックを行い改善する |
順番に、各ステップについて見ていきましょう。
4-1.【ステップ①】人事DX推進の方向性を決める
人事DXを成功させるには、最初に、推進の方向性を決めておきましょう。方向性が具体的に決まっていれば、デジタル化すべき範囲や導入すべきツールなどが、明確になるからです。また、最終的な効果検証にも役立ちます。
方向性としては、以下のような内容を決めてください。
推進の方向性の例
- 人事DXを進める目的や必要性
- 人事DXを推進することで実現したい将来像など
方向性については、経営陣も巻き込んで検討し、決定後は全従業員に周知しておくことで、この後のステップで社内の協力を得やすくなります。
4-2.【ステップ②】現在の業務プロセスを分析する
人事DX推進の方向性が決まったら、現在の業務プロセスを分析し、課題を抽出しましょう。人事業務に関係する問題点や、改善が必要なことを、大小にかかわらずリストアップしてください。
「どうやって課題を探せばよいのかわからない」という場合は、以下の着眼点を参考に、問題点はないかを検討してみましょう。
課題を抽出する際の着眼点
- 人事に関するデータは、一括して管理されているか
- データをいつでも閲覧や分析に利用できるか
- 採用や人員配置で、問題になっていることや不満が出ていることはないか
- システムや業務フローなどで、使いづらいものや今の時代に合っていないと感じるものはないか
- 属人化してしまっている業務はないかなど
方向性については、経営陣も巻き込んで検討し、決定後は全従業員に周知しておくことで、この後のステップで社内の協力を得やすくなります。
4-3.【ステップ③】DXの施策を決め実践する
現在の業務プロセスを分析できたら、いよいよDXの施策を決め、実践していきます。
抽出した課題で解決の優先順位が高いものについて、施策を行っていきましょう。
具体的には以下のような視点から、施策を決めるのがおすすめです。
DXの施策の例
- 業務の進め方を変えられないか
- なくせる業務はないか
- 導入すべきツールやデジタル化すべき部分はないか など
施策は、スモールスタートで実施し、成果を確認しながら社内全体に広げていくことで、大きな失敗なく進めることができます。
4-4.【ステップ④】フィードバックを行い改善する
DXの施策を実践したら、フィードバックを行い、必要に応じて改善しましょう。最初に設定した目的や、実現したい将来像と比較し、現状に足りないものは何かをチェックしてみてください。
半年ごと1年ごとなど、定期的に効果検証し、改善が進んでいない部分にテコ入れすることで、人事DXの成果を最大化できます。
例えば、当初は勤怠管理システムだけ導入すれば改善すると考えていた業務負担が、給与計算システムとの連携がうまくいかず改善効果が低いという場合は、連携重視でシステムの変更を検討していく必要があるでしょう。
このように人事DXは、一度施策を行えばそれで完結する取り組みではなく、以後も継続的にチェックと対応が必要であることを念頭に取り組んでください。
ここまで記事を御覧いただいた上で、
「人事DXは難しそう」
「自分で調べて対応する時間がない」
「一旦、詳しい人の話を聞いたうえで判断したい」
とお考えの方は、ぜひ当社にサポートをお任せください。
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5.まとめ
人事DXとは、人事の領域にデジタルツールを導入し、業務の進め方などを刷新することで、生産性を向上させる取り組みのことです。
テレワークをする従業員が増えたことで、
- オフィス外で仕事をする従業員の勤務状況を正確に把握するためには、デジタルツールが欠かせない
- 人事労務の担当者が効率的にテレワークをするには、デジタルツールの導入が必要
といった、デジタルツールを業務に取り入れる必要性が高まり、注目を集めています。
人事DXの代表的な実践アイデアは、以下のとおりです。
人事DXの実践アイデア例
- 人事関係データを一括管理し、タレントマネジメントに活用
- 労務管理をデジタル化し、業務負担を軽減
- 採用管理システムを導入し、業務効率化
また、人事DXで注意すべき課題と対策ポイントは、以下のとおりです。
課題 | 対策ポイント |
---|---|
【課題①】 デジタルツールの導入が目的化してしまう |
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【課題②】 データが集約できない |
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人事DXは、以下の基本的な流れに沿って進めることで、手戻りなく効率的に成果を出しやすくなります。
ステップ① | 人事DX推進の方向性を決める |
---|---|
ステップ② | 現在の業務プロセスを分析する |
ステップ③ | DXの施策を決め実践する |
ステップ④ | フィードバックを行い改善する |
企業の競争力を高めるには、人事におけるDXが欠かせません。今回ご紹介した基礎知識を参考に、取り組みを進めてみてください。