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デジタル人材の確保が上手くいく3箇条|人材確保に必要な考え方とは?

一般に、最先端のデジタル技術を活用して、企業などへ新たな価値を提供できる人材のことを「デジタル人材」といいます。社会全体としてデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まる中、各企業ではデジタル人材の確保が急務となっている状況です。
この記事をお読みの企業担当者の中には、「デジタル人材の採用や育成を行いたいが、どのようにすれば上手く行くか分からず悩んでいる」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デジタル人材を取り巻く状況や、デジタル人材を確保するためにおすすめの採用方法、人材確保に向けたポイントなどについて解説しています。
また、デジタル人材の確保を成功させるためには、採用担当者が自社に必要な応募者(デジタル人材)を選ぶだけでなく、企業自体が「応募者(デジタル人材)から選ばれる企業になる」という意識を持つことも大切です。また、採用活動における工夫や自社での育成など、さまざまな施策を検討することが必要になります。
デジタル人材の確保を積極的に進めていきたい企業担当者の方は、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
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目次
1.デジタル人材とは
昨今、「デジタル人材が不足している」という声が企業から多く聞かれます。この「デジタル人材」とは、単にパソコン操作に精通している人や、プログラミングができる人のみを指す単語ではありません。デジタル人材の確保を目指すのであれば、まずは「デジタル人材とはどのような人材なのか」を、正しく理解する必要があるでしょう。
1-1.デジタル人材とは「新たな価値提供ができる人材」のこと
「デジタル人材」には明確な定義はありませんが、一般的には「最先端のデジタル技術を活用して、新たな価値を企業や顧客、社会へ提供できる人材のこと」を指すと考えられています。
なお、経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」では、主なデジタル人材として①「DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化」を担う人材、②今後のデジタル社会を担うデジタルネイティブ人材、を対象に各種政策の検討が進められています。
参考:経済産業省「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 デジタル人材に関する論点」[2021]
ここで認識しておくべきポイントは、「デジタル人材=単にデジタル技術を『使える』人ではない」という点です。
デジタル技術を活用することにより、結果的に企業や顧客、社会へ新たな価値を提供できるような施策の検討や推進が行えるかどうかが、デジタル人材に必要な要素となります。
1-2.「デジタル人材」と「IT人材」の違い
なお、デジタル人材に似た言葉に「IT人材」というものがあります。IT人材は、中小企業庁が以下のように定義している言葉です。
「IT人材」とは、ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材のことをいう。
引用:中小企業庁「2016年版中小企業白書 第2部 中小企業の稼ぐ力」[2016]
先ほど紹介したデジタル人材と少し意味が異なりますが、いずれの人材においてもデジタル技術を使えるだけでなく、デジタル技術を活用した企画を立案し、推進していくスキルが求められていることが分かります。
2.デジタル人材の確保に苦戦する日本企業
昨今、日本企業はデジタル人材の確保に苦戦する状況が続いています。
総務省の委託調査では、デジタル化に関して現在認識している課題、もしくは今後想定される課題や障壁について、「人材不足」を挙げた日本企業が約7割と最も多く、人材不足が大きな課題になっていることが分かっています。この割合は、米国やドイツ、中国といった海外と比較しても非常に高いものでした。
次いで、約4割の企業が「デジタル技術の知識・リテラシー不足」を挙げていることからも、デジタル人材に関する課題感は非常に強いことが改めてうかがえます。
参考:総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」[2022]
また、同調査では、上記のようにデジタル人材が不足している要因として、「デジタル人材を採用・育成する体制が整っていない」「デジタル人材を採用・育成する方法が分からない」ことを挙げている企業が多くなっています。
これらの調査結果からも分かる通り、昨今デジタル人材の需要が大きい一方で、その確保に向けた方法や体制づくりに悩む企業は非常に多い状況です。
3.デジタル人材の確保を成功させるための3箇条
デジタル人材の確保に苦戦する日本企業が多い中、しっかりと人材を確保していくためには、どのようなポイントを抑える必要があるのでしょうか。
ここからは、デジタル人材の確保を成功させるための秘訣として3つのポイントについて解説していきます。
- 自社に必要なデジタル人材像を明確化する
- デジタル人材にとって魅力的な就業環境・待遇を整備
- 既存の社員や採用した社員の育成・定着に力を入れる
3-1.自社に必要なデジタル人材像を明確化する
まず初めに、自社で確保したいデジタル人材について、「どのような職種、あるいはどのようなスキルを有する人材なのか」を明確化することが重要です。自社のDX・デジタル化のゴールをどこに設定するのかから逆算して、DX・デジタル化を実現するために自社が求める人物像(デジタル人材像)がどのようなものか、具体的にはどの部署でどのように活躍してほしいのか、そのためにどのような条件・スキルを求めるのかなどを明文化しましょう。
特に、外部からの採用によりデジタル人材を確保する場合は、求人サイトなどへ応募条件を掲載することが必要となります。「誰でもいいから、とにかくデジタル人材が欲しい」という感覚で応募条件を広げ過ぎてしまうと、本当に確保したい人材を採用できないリスクが高まります。
応募条件の設定例
必須条件
- 事業会社にてコーポレート業務(総務・経理業務など)のデジタル化推進に向けた企画立案に従事した経験をお持ちの方
希望条件
- 新規事業開発の経験をお持ちの方
- データ分析・収集の経験をお持ちの方
- ITコンサルやSierでの業務設計など、システム要件定義を実施した経験をお持ちの方
採用ターゲットを確定する際には、絶対に欠かせない「必須条件」と、あると望ましい「希望条件」、評価しない条件(もしくは避けたい条件)である「不要条件」を定義すると進めやすいでしょう。
また、企業と採用者入社後のミスマッチを防ぐためにも、採用を行う部署とデジタル人材を配属する部署間で、各種条件の事前すり合わせを十分に行うことが重要です。
なお、優秀な人材を確保するために、日本人だけでなく外国籍人材の積極採用も検討していくことも選択肢の一つです。
3-2.デジタル人材にとって魅力的な就業環境・待遇を整備する
デジタル人材の確保に苦戦する企業は多いですが、まずデジタル人材を採用するにあたっては、「自社が求職者(デジタル人材)を選ぶ」という目線だけではなく、「自社は求職者(デジタル人材)から選ばれる立場でもある」ということを意識し、働き方や給与面での待遇も含めて、求職者にとって魅力的な就業環境や待遇を整備することも重要です。
例えば、以下のような施策が考えられるでしょう。
- ワークライフバランスがとれる環境の整備
(フレックスタイム制度の導入など)
- 柔軟で多様性のある働き方の導入
(週5勤務の正社員だけでなく、一部曜日のみのスポット勤務や業務委託契約など)
- スキルアップできる制度の導入
(研修制度、書籍などの購入手当や資格取得手当の支給など)
- 適切に人材を評価できる評価制度・報酬制度の構築
- 組織全体でのデジタル化やDX推進
このような就業環境・待遇を整備することは、デジタル人材の興味を惹くことに役立つのみならず、採用した人材を辞めさせない(定着させる)ことへも役立つ可能性があります。
ただし、上記に挙げたような施策の全てへ最初から取り組むことも難しいでしょう。例えば、最新のデジタル技術について学ぶための書籍購入費の補助など、各社が取り組み易い施策から少しずつでも体制を整備していくことが重要です。
3-3.既存の社員や採用した社員の育成・定着に力を入れる
デジタル人材には、一定水準以上のスキルや経験が必要となることも相応にあるため、中途採用をメインに採用活動を進める企業は多くみられます。しかしながら、先ほどから解説してきたように、デジタル人材の確保は一筋縄ではいかない現状があります。
中長期的なデジタル人材の確保に向けては、既存の社員や新卒者、他業種出身の若手のポテンシャル採用者などを、社内で育成・定着していくこともおすすめします。
例えデジタル人材採用が成功し、外部から多くのデジタル人材を確保できたとしても、その他内部の社員のデジタル化・DXへの理解が低いままでは、全社的にビジネスを変革していくことは困難です。そのため、「デジタル」に関する社員全体の関心やモチベーションを上げながら、実務的なスキルを身に着けさせることも、十分なデジタル人材の確保には大変重要なポイントとなります。
さらに、社会の中で需要が高まっているデジタル人材は、より良い環境を求めて転職を行う可能性も高いとみられます。「せっかく採用を行ったにも関わらず、すぐに転職してしまった」といったような結果にならないよう、就業満足度に関するヒアリングなどを含め、採用後のフォローをしっかりと行いながら、デジタル人材が定着し易い環境を整えることも必要です。
4.デジタル人材の採用方法
デジタル人材の採用を成功させるためには、以下に挙げられるような一般的な採用方法の中でも、複数の方法を組み合わせて採用活動をすすめる方法が有効とみられます。
採用方法 | 概要 |
---|---|
求人広告 | 転職サイトへ求人広告を出稿する |
転職エージェント (ヘッドハンティング) |
転職紹介サービスへ依頼する |
リファラル採用 | 自社社員に優秀な友人・知人を紹介してもらう |
自社採用ページの作成 | 自社公式サイト内に採用ページを作成する |
ダイレクトリクルーティング | 求職サイトへの登録者に直接アプローチして勧誘する |
それぞれの採用方法について解説していきます。
4-1.求人広告
デジタル人材を採用するための基本的な方法として、求人広告(転職サイト)を活用して中途採用を行う方法が挙げられます。求人広告とは、多数の企業の求人情報を掲載している媒体へ、期間を決めて出稿する形式のものです。一か月あたりの定額費用を支払うことなどにより掲載が可能です。
他の求人方法と組み合わせることがベストですが、取り掛かりやすい採用方法としてまず検討すべき求人方法といえるでしょう。
4-2.転職エージェント(ヘッドハンティング)
デジタル人材の採用方法として次に考えられるのが、転職エージェントやヘッドハンティングを使った採用方法です。
転職エージェントとは、転職者一人ひとりに専属担当者が付き、採用を検討している企業と転職者を繋げてくれるサービスのことです。転職者のスキルや経験と採用企業が求める応募条件をマッチングしてくれるため、ミスマッチが起こりにくい点が特徴です。
一方ヘッドハンティングは、外部の優秀な人材をスカウトする(引き抜く)採用方法をいいます。最近では、ヘッドハンティング型の転職エージェントも増えている状況です。
4-3.リファラル採用
近年特に注目されている採用方法が「リファラル採用」です。
リファラル採用とは、自社で働いている社員に、知り合いを紹介してもらう採用手法です。転職者側は、紹介者から会社の社風や制度などに関するリアルな情報を得たうえで面接に望むことができるうえ、企業側も理想に近い人材を紹介してもらいやすいというメリットがあります。
リファラル採用では、外部業者を経由して採用を行わないため採用コストが大幅に削減できる分、紹介者へのインセンティブを用意するなどして、優秀なデジタル人材を紹介してもらいやすくする仕組み作りが重要です。
4-4.自社採用ページの作成
優秀なデジタル人材を継続的に採用するために、自社サイト内に求職者(デジタル人材)向けの採用ページを作成し、求職者へ向けたコンテンツを充実させる方法もおすすめです。
求人広告サイトや転職エージェント、リファラル採用などさまざまな経緯で興味を持ってくれた転職者は、企業研究のために企業サイトを閲覧しに来ることが多いでしょう。その際に、企業が求めるデジタル人材像について分かりやすい採用ページがあれば、より詳しい仕事内容や一日の仕事の流れなどをイメージしやすくなります。
前章で解説したように、自社で必要なデジタル人材像は明確化したうえで、自社と親和性の高い採用方法を中心に、複数の採用方法を併用すると良いでしょう。
4-5.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求職サイトへの登録者に対して企業が直接アプローチして勧誘を行うことです。
条件を絞ってアプローチできるため、効率的に求める人材を探すことができます。
プラリタウンでもダイレクトリクルーティングサービスをご紹介可能です。求める人材を直接スカウトできる!人材データベース活用サービスはこちらから
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5.まとめ
この記事では、「デジタル人材とは何か?」という基礎的な部分から、デジタル人材の確保を成功させるためのポイント、具体的な採用方法までを解説してきました。
最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみます。
最初に「デジタル人材」という言葉の意味をしっかり理解できるよう、一般的な整理を紹介しました。
デジタル人材とは、最先端のデジタル技術を活用して、新たな価値を企業に提供できる人材のこと
社会全体でデジタル人材に対する需要が高まる中、総務省の委託調査からは、多くの日本企業がデジタル人材の確保に苦戦している状況がうかがえます
デジタル化に関して現在認識している課題、もしくは今後想定される課題や障壁について、「人材不足」を挙げた日本企業が約7割と最も多い
このような現状の中、デジタル人材の確保を成功させるためには以下の3つのポイントが大切です。
- 自社に必要なデジタル人材像を明確化する
- デジタル人材にとって魅力的な就業環境・待遇を整備する
- 既存の社員や採用した社員の育成・定着に力を入れる
また、以下のデジタル人材採用におすすめの採用手法を複数組み合わせて積極的に採用活動を進める必要があります。
- 求人広告
- 転職エージェント(ヘッドハンティング)
- リファラル採用
- 自社採用ページ
- ダイレクトリクルーティング
ただし、デジタル人材の確保に成功している企業は、「外部からの人材採用」だけでなく「社内人材育成」も同時に行っていることが多く、成功するためには積極的な社内の人材育成も欠かせない施策のひとつとなるでしょう。
ぜひ、外部人材の採用と社内人材の育成の両方を検討しながら、デジタル人材の確保を進めていきましょう。